人間は夢と現実、ふたつの世界を行き来する
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人間だれしも、いつもの生活では、思い通りにふるまえないのが普通です。
内心は、美しく着飾って、周囲の人の注目を一身に集めたいと思っていても、現実の世界では目立ちたがりと思われないように派手な格好を慎みます。
イヤミばかり言う上司に、本当は面と向かって、大嫌いと言ってやりたいのに、実際は同僚にグチを言うのがせいぜい。
人は誰でも道徳や理性、さまざまな社会的状況に邪魔されて、自由に行動することはできません。
目覚めているときの脳は外界の刺激をキャッチして、それに合うように行動しようとしているからです。
ところが、夢の中なら、目がさめるような派手な服を着たり、誰からもとがめられずに、上司に向かって嫌いだということができます。現実の制約にとらわれずに、したい放題ができるのです。
つまり、先に述べた願望の充足です。
それだけに、夢の中では現実には起こらないことが起こったり、矛盾に満ちていたり、一見、理解できないような状況が展開したりするわけです。
夢を見ているときの脳波を調べると、起きて考えているときの脳波よりも、本を読んでいるときの脳波に似ていることがわかっています。
しかも、眠っている時は、外界からの刺激をシャットアウトしていますから、圧力を受けずに、自分でつくったシナリオに応じて自由気ままな活動が可能です。
夢は、現実のしがらみを忘れて、自分だけの世界に生きる時間、願望を解き放つ時間です。
そう考えると、人間はふたつの人生を行きているといえるでしょう。
ひとつは、いうまでもなく現実の制約のなかで、自分のあり方を模索する人生。
もうひとつは、外界の刺激を締め出して、自由な発想で夢を見る、イマジネーションの人生です。
つまり人間とは、ふたつの世界、ふたつの人生を行き来する、不思議な動物なのです。