夢で病気が治る?
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現代でも、杖と蛇は医学のシンボル。
古代ギリシャには、この杖と蛇に象徴された神様がいました。
彼の名は、アスクレピオス。紀元前6世紀ころから、千年以上にわたって信仰された、医学の神です。
アスクレピオスの神殿には、いかなる薬によっても治らなかった患者や、死を宣告された病人たちが多く訪れました。
彼らは、自分の身分に応じた捧げ物を献上し、体を清める儀式をしたあと、境内に据えられた寝台に横たわりました。
そしていよいよ治療がはじまるのですが、医者がいるわけでも、薬を与えられるわけでもありません。
そこで病人たちが待っているのは
「正しい夢」の訪れなのです。
正しい夢には、癒やしの神であるアスクレピオスが現れます。
彼の本来の姿は、蛇を従え、ヒゲをはやしている男なのですが、夢の中では、若者になったり、犬や蛇などの動物に変身したりします。
彼が病人の悪い部分、病気の原因となっている箇所に触れると、病人は長く患っていた病気が、即座に治ったことを感じるのです。
また、寝たきりで身動きのできない病人の場合は、代理人が神殿を訪れてもいいとされていました。
代理人が夢を見れば、病人の体が回復したといわれています。
この神殿には、現在も3つの石柱が残っていますが、そこには病人たちが感謝の言葉や、治療された病気の例などが刻み込まれています。
ちなみに、夢治療がなされた神殿にある寝台は、クリーネと呼ばれていました。
これが、現在、英語で治療院にあたるクリニックの語源ともなっているのです。